●Kazさんのページ

「英語よもやま話」2006年
ここには、読者の皆様との交流の場でもある巻頭序言を集めてあります。

●2006年1月 【お笑い】

2006年1月 明けましておめでとうございます。
今年も「Jokeの達人」ご愛読の程をよろしくお願いいたします。


では「笑う門には福来たる」で、年始の馬鹿々々しいお笑いを 一席。

 昔々あるところにお爺さんがおってな、ある時、山に芝刈に行くと白い鳥が猟師の仕掛けた罠にかかっておったそうな。お爺さんはかわいそうになって助けてやったそうじゃ。その夜、見知らぬ 若い娘がお爺さんの家を訪れ一晩泊めてくれと頼むので、お爺さんは娘を泊めてやったとな。

 翌朝その娘はお礼に機(はた)を織り、お爺さんに「この反物を町で売ってください。きっと高く売れるでしょう。実は私はあなたに助けられた、あの白い鳥です。でもこれは私の羽を一本一本抜いて作ったもので、このままでは私が死んでしまいます。どうか食べ物を少し恵んで下さい。」と言ったそうな。それはそれは見事な反物だったので、感激したお爺さんは、家にある米や野菜をみんなこの娘にくれてやったとな。ほんでもってお爺さんは早速町の呉服屋に行ったそうじゃ。

 呉服屋の番頭はお爺さんの持ってきた反物を見るなりこう言った。「爺様、これは偽物ですじゃ。騙されましたな。」……。お爺さんが助けた白い鳥は、(鶴ではなくて)サギ(鷺)だったとな。

●2006年2月 【時代を読む三つの言葉】

 文藝春秋2006年1月号に「時代を読む三つの言葉」という特集があり、各界のリーダー・有識者が選んだ言葉が載っていました。「まやかし・あほらし・あらまほし」(作家:堺屋太一)や、「構造改革・自己責任・自暴自棄」(アナリスト:森永卓郎)などの中で、作家の半藤一利さんが小林一茶の俳句を借用して、洒脱に答えていたのでご紹介しましょう。

地獄の上の花見 : 世の中は 地獄の上の 花見かな
目もくらむような国家の借金、子供の親殺し、少子化高齢化、地球温暖化とまわりを見回して明るいところは一つもない。なのに皆等しく浮かれている日本社会は何なんだ?
そこのけそこのけ: 雀の子 そこのけそこのけ お馬が通 る
「改革」という名の錦の御旗に反対しようものならすぐに「抵抗勢力」の烙印を押される。国のトップが物事を単純化して二者択一を迫るのが好きなので、世の中すべて白か黒で決まる。「勝ち組」か「負け組」、「好き」か「嫌い」か。そんな簡単に決めていいの?
ちんぷんかん  : 辻談義 ちんぷんかんも 長閑哉(のどかなり)
このごろのテレビ、訳のわからん評論家がベチャクチャ囀(さえず)り、使い捨て芸人によるちっとも面 白くない低級なギャグで無理矢理笑わそうとする。故大宅壮一氏の名言、「一億総白痴化」がまさに現実になったのです。長閑なものよのう。

●2006年3月 【外来語】

 我々が何気なく使っている日本語の多くが実は外来語だったという事実に驚かされます。

 独身男性という意味で使われる「チョンガー」、これは韓国語で独身男性の髪型「総角」から来ています。また第一線を退いた年配者を「ロートル」と言うのは中国語の年寄りを意味する「老頭児(ロウトールー)」が語源です。

 レインコートと言うより合羽(カッパ)と言った方が年配の方には分かり易いようですが、このカッパはポルトガル語のcapa(外套)から、同じく歌留多(かるた)もポルトガル語のcarta(カード)から来ています。意外や意外、博多のお祭り「どんたく」がオランダ語のZondag(休日)から来ていることはご存じでしたか?土曜日半日勤務のことを「半ドン」と言う「ドン」はこのZondagに由来するのです。

 サラリーマンが毎日着ている「背広」、これも軍服に対 して市民服を意味する英語「civil clothes」の「civil」が訛って「セビロ」となり漢字で「背広」が当てられたとする説と、ロンドンの高級洋服店街「Savile Row」からこの服が売り出されたため、「Savile」が「セビロ」となり、「背広」が当てられたとする説がありますが、いずれにせよ英語が語源なようです。

●2006年4月 【江戸川柳と中国故事】

 日本人はユーモアのセンスに欠けるという人がいますが、そんなことはありません。故吉田茂首相が晩年に「長生きの秘訣は?」と尋ねられた時、「人を食って生きてきたからだよ」と答えた逸話は有名です。また江戸川柳の軽妙洒脱さ、語呂合わせの上手さは、ジョーク好きの私には大いに手本になります。江戸っ子にかかっては孔子も孟子もおちょくりの対象になり、思わず吹き出してしまいます。

 過(あやま)ってはばからず来るふてえ奴
論語学而編「過ちては即ち改むるに憚(はばか)ることなかれ」(=間違ったことをしたらためらわずに直ぐに改めるのがよい)を文字ったもので、ふてえ(=図々しい)奴は「はばからず」(=躊躇せず)押しかけて来るという、いかにも江戸っ子庶民感覚にあふれた言葉遣いになっています。

 おっかさん又越すのかと孟子言い
有名な孟母三遷(=孟子の母が子供の教育のためによりよい環境を求めて三度も住所を移した)を子供の立場にしたらたまらないだろうという、「親の心子知らず、子の心親知らず」をさりげなく表現しています。

【出展】「江戸川柳で愉しむ中国の故事」(若林力:大修館書店)

●2006年5月 【ワインに関する諺】

 ワインに関する諺には、成る程と肯かされるものが多く有ります。

Good wine needs no bush.
:良酒に看板要らず。
昔英国ワイン商の建物の壁には目印としてツタ(Ivy)が生い茂っていました。しかし良いワインを扱っている業者の店は、こんな目印がなくても取引相手はやって来ます。徳が高い人はわざわざ宣伝しなくとも人が慕って集まる、ということです。
From the sweetest wine, the tartest vinegar.
:最も甘いワインから最も酸っぱい酢が作られる。
愛情が深ければ深い程、憎しみに転じた時の度合いが激しくなるということです。
When the wine is in, the wit is out.
:酒が入ればまともな考えが通用しなくなる。
適度に飲めば百薬の長である酒も飲み過ぎれば気違い水となり、支離滅裂・乱闘騒ぎを起こします。

●2006年6月 【回文】

 日本語の「竹藪焼けた」(たけやぶやけた)の様に、上から読んでも下から読んでも同じになる文を「回文」といいます。英語ではpalindromeと呼ばれ、辞書ではこう定義されています。A palindrome is a word, phrase, or other sequence of unitsthat has the property of reading the same in either direction.(回文とは単語、文章、あるいはひとかたまりの文字列で、どちらの方向から読んでも同じになるものを言う)

具体例をいくつか挙げましょう。

Madam, I'm Adam. マダム、私がアダムです
A Toyota! Race fast, safe car. A Toyota. トヨタ!速く走って安全な車、トヨタ
Was it a car or a cat I saw? 私が見たのは車か、それとも猫か?
Damn I, Agassi Miss again! Mad 畜生!俺、アガシは、またミスッた!頭に来るぜ


もっと沢山ご覧になりたい方はこちらへどうぞ→http://www.palindromelist.com/

●2006年7月 【ダヴィンチコード】

 世界中で四千万部を売り上げたという話題の「ダヴィンチコード」(ダン・ブラウン著・越前敏弥訳:角川書店)を読み、封切りされたばかりの映画も観てきました。長大な内容を165分に縮めた映画は、原作に比べると物足らずで、前評判の割にはいささか拍子抜けしました。
 原作の中で一番論議が喧(かまびす)しいのは、イエス・キリストが実はマグダラのマリア(=復活後のキリストと最初に出会った女性)と結婚し、子供を作り、その子孫が現代まで続いているという部分ですが、あくまでも小説であり歴史的根拠は乏しいと思われます。
 特にレオナルド・ダヴィンチが描いた「最後の晩餐」の絵で、キリストの右側に居るヨハネが実はマグダラのマリアで、秘密結社の頭目であったダヴィンチがキリストの真実のメッセージとして残したという点は作者のアイデアであり、神聖冒涜などと喧々囂々(けんけんごうごう)騒ぐ程の事ではあるまい、と思います。源義経が生き延びて蒙古に渡りジンギス汗になったという伝説を本気で信じる人がいないのと同様に。

●2006年8月 【馬力】

 最近車を買い換えました。運転していてすごくパワーがあると感じて、カタログ値を読み直すと272ps/6000rpmとなっています。これはエンジンの回転数毎分6,000回転の時に最高出力は272馬力であるという意味ですが、rpm(revolutions per minute)に対する馬力(horse power)がなぜhpでなくてpsなのか不思議に思って調べたら、ドイツ語のPferde Starke(馬の力)の頭文字をとったものだと判りました。
 馬力という単位は、ジェームズ・ワットが蒸気機関の能力を示すために荷馬1頭のする仕事を基準としたことに始まることは知っていましたが、数値的には745ワットの仕事率になるそうです。ややこしいのはこれは英国馬力であって、メートル法に基づくフランスでは1馬力=735ワットで、つまり1英馬力=0.98仏馬力となります。
 日本では従来1馬力=750ワットを採用していましたが、1999年計量法の見直しと共に仏馬力と同じ基準にしました。馬は各国餌の違いによるパワーの差があるのですかね?(笑)
 余談ですがサラブレッド馬は3馬力以上あるそうです。

●2006年9月 【まぐろ】

 マグロはにぎり鮨のタネとして欠くことが出来ない存在で、中でも脂身の部分(トロ)は珍重され、大トロの部分などは目の玉 が飛び出るような値段がつけられていますが、今日これほど貴重品扱いされるマグロも江戸時代には下魚として一般 には賞美されてい ませんでした。明治・大正時代もマグロの脂身は歓迎されず、出前の鮨に無断で脂身の部分を入れてゆこうものなら、いきなり叱られたほど客も脂身を嫌がったようです。
 この頃脂身は鮨屋仲間では「アブ」と呼ばれていましたが、大正七、八年頃日本橋二丁目にあった「吉野鮨」が、当時ライバル店である京橋の「幸寿司」に対抗するため背肉より二、三割安いマグロの腹肉の脂身を商売物として売り出しました。値段が安かったことから「吉野鮨」の店内は押すな押すなの混雑になり、しまいには店の外に行列が出来るほどになったそうです。
 人気のマグロ脂身については「アブ」は語感が悪いし、霜降りだの、段だらだの注文する客によって呼び方がまちまちでややこしいので、なんとか符丁を統一しようということになり、ある人が「口に入れるとトロっとするからトロにしては?」と提案して、これが即決されたそうです。

【出典「鮓・鮨・すし」(吉野舛雄:旭屋出版)】

●2006年10月 【暖簾と老舗】

京都、下鴨茶寮の暖簾

 昔、寒い冬には客のために部屋の入り口から隙間風が入らないように、目張りとして簾(す=すだれのこと)をかけたことから、「暖かい簾」が、「暖簾(のれん)」と言われるようになりました。これは客を大切にすることにつながります。
 また先代の仕事を守って「仕事を似せる」ことから「仕似せ」を大切にする店が、老舗(しにせ)になりました。つまり代々の仕事を受け継いで客を大切にすることが、「老舗」の「暖簾」なのです。
 ある「老舗」のご主人が『世の中の流れを見つめ、変わるものと変わらないものを見定めまして、変えてはいけないものを守るようにしています。また変えてもいいものは勇気を出して変えて行きませんと店が守れません』と、言っていました。含蓄がある言葉だと思います。

●2006年11月 【ダイアモンドの単位】

 ダイアモンドの重さを表す単位 として使われるのがカラット(carat)で、1カラット=0.2gです。このカラットの語源となったのが中東やアフリカなどで採れるイナゴ豆で、アラビア語でキラット(quirrat)、英語ではキャロブ(carob)と言います。この豆は乾燥させると約0.2gでバラツキが少なく、昔から金細工職人等がその重さの正確さから量 り用分銅として用いていました。そこから1カラット=0.2gと世界で共通の単位 が生まれたのです。

 日本ではあまり目にする機会がないイナゴ豆ですが、地中海沿岸地域では乾燥した豆を子供のおやつにしたり、すり潰した豆をコーヒーの様に飲むそうです。また莢(さや)は聖書の時代から豚牛馬の飼料でもあり、新約聖書福音書ルカ伝(15−16)には次の記述があります。『彼は豚の食べるいなご豆を食べてでも腹を満たしたかったが、食べ物をくれる人はだれもいなかった。』

●2006年12月 【アメリカ国歌】

オリンピック表彰式などでメロディーは親しんでいるアメリカ国歌(The Star-Spangled Banner)の歌詞を初めて訳してみて、好戦的な軍歌であることに驚きました。

Oh, say can you see,
by the dawn's early light
What so proudly we hailed
at the twilight's last gleaming?

Whose broad stripes and bright stars,
through the perilous fight.
O'er the ramparts we watched
were so gallantly streaming?

And the rockets' red glare,
the bombs bursting in air,
Gave proof through the night tha
tour flag was still there,

Oh, say does that star-spangled
O'er the land of the free
banner yet wave.
and the home of the brave!

おお、見えるだろうか?
夜明けの薄明かりの中
我々は誇り高く声高に
叫ぶ対象のものが

危険な戦いの中、我々が見つめる
城壁の上に、広い縞に星が輝く旗 が
雄々しく翻るのが見えた


砲弾が赤く光を放ち
空中で炸裂する中
我等の旗は夜通し翻っていた
我らの勝利を証明するように

おお、星条旗はまだたなびいているのか
自由の地であり、
勇者の故郷の上に!


これに比べればわが日本国歌「君が代」の歌詞は、たおやかで悠久の時の流れを感じさせます。「君が代」は軍国主義を象徴すると国歌斉唱を拒否する一部教師達は、アメリ カ国歌の歌詞内容を知っていて言っているのでしょうか?
君が代は 千代に八千代に さざれ石の 巌となりて 苔のむすまで

それでは皆様、よいお年をお迎え下さい。



*
巻頭序言集
2002200320042005・2006
20072008200920102011
20122013201420152016
2017・2018・2019・2020・2021
*