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「英語よもやま話」2008年
ここには、読者の皆様との交流の場でもある巻頭序言を集めてあります。

●2008年1月 【論語の爲政編】

明けましておめでとうございます。
今年も「ジョークの達人」ご贔屓の程、よろしくお願い申し上げます。「論語」の爲政編にある有名な語句を英訳してみました。

子曰、吾十有五而志于學 し のたまはく、われじゅうゆうごにして がくをこころざす
三十而立 さんじゅうにして たつ
四十而不惑 しじゅうにして まどはず
五十而知天命 ごじゅうにして てんめいをしる
六十而耳順 ろくじゅうにして みみしたがふ
七十而從心所欲、不踰矩 しちじゅうにして こころのほっするところにしたがへども、のりをこえず

Confucius said, "At 15, I aspired to learning.
At 30, I established my stand.
At 40, I had no delusions.
At 50, I knew my destiny.
At 60, I knew truth in all I heard.
At 70, I could follow the wishes of my heart without doing wrong."

●2008年2月 【ザクロ】 

 ザクロは英語でpomegranateと言いますが、これは中世フランス語のpome(リンゴ)+grande(種が入った)が語源とされており、その形状を見れば納得します。因みに手榴弾をgrenadeというのもザクロの形に似ているからです。

 日本語でなぜザクロと言うか調べてみてビックリ、なんと原産地がイラン東部のザグロス山脈(Zagros Mountains)であることから、日本ではザクロと呼ばれるようになったそうです。

 ザクロを手に持った仏像として「鬼子母神」が有名ですが、これはサンスクリット語でハーリティーと呼ばれる訶梨帝母(かりていも)という鬼神が、仏教に帰依した姿です。500人の子の母でありながら、常に他人の子を捕えて食べてしまう食人鬼訶梨帝母に対して、釈迦は彼女が最も愛していた末子を隠して子を失う母親の苦しみを悟らせ、人肉の味がすると言われる柘榴の実を与え、人肉を食べないように約束させました。以後訶梨帝母は仏法の護法神となり、子供と安産の守り神となりました。

 仏像を見ると子供を1人抱き、手には吉祥果(ザクロ)を持っています。ザクロが1つの実の中に又たくさんの小さな実があり、その一つひとつがそれぞれに小さな種を持っていることから、縁起のよい果 物として 子孫繁栄の象徴となっているようです。

【参考文献】
「つまらない手みやげですが」(葉月二十一著:小学館)

●2008年3月 【ハムレットとオムレツ】

演技力のない下手くそな役者のことを「大根役者」と言いますが、これは、大根は食べてもめったに食中りすることがないことから、「当たらない役者」の意味でこう呼ばれるようになったという説と、大根の色が白いことから「素人」に引っかけてこう呼ばれるようになったという説とがあります。

英語では大根役者のことをham actorと言いますが、「ハムレット」と「オムレット」の言葉遊びを使った、こんなジョークが有ります。

Hamlet & omelet A ham actor performed so badly that the audience pelted him with eggs.
He appeared as Hamlet and disappeared as omelet.

ハムレットとオムレツ大根役者(ham actor)の演技が余りに下手くそなので、観客は彼に卵を投げつけた。
彼はハムレットとして登場したのだが、オムレット(=オムレツ)として退場するはめになった。

●2008年4月 【あんぱん】

 銀座四丁目の「木村屋総本店」の前は、いつでも人だかりがしています。

 お目当ては「元祖あんぱん」。明治時代に日本人の口に合うように考案された日本独自のパンで、パン酵母の代わりに酒饅頭と同様に日本酒酵母を含む酒種を使って作り、中味にはつぶあん、こしあん、白あん、うぐいすあんなどを入れ、中心の窪みに桜の塩漬、表面 には炒 ったケシの実をのせています。パンでありながらも和菓子の部類に入れても良いような気がする日本独自なものです。

 「木村屋」のウエッブサイトを読むと、明治8年(1875年)4月4日に山岡鉄舟の推挙により木村屋のあんぱんが明治天皇に献上されたことを記念して、4月4日を「あんぱんの日」としているそうです。知りませんでした。(笑)

●2008年5月 JAPAIN

衆参ねじれ国会現象による民主党の「何でも反対」ゴリ押しのため、福田内閣は時限立法切れのインド洋の多国籍軍向け給油活動を再開させるのに4ヶ月もかかり、任期満了の日銀総裁の後任者が任命出来ず、一方で4月1日から突然ガソリンが値下がりし、衆議院再可決後は再び価格値上げされるという、他国の信頼を失い国民の迷惑を考えないような支離滅裂な政局運営を行っています。海外からも時計の針を逆戻ししたような日本の政治と、それに引きずられる「構造改革失速」経済に対して、容赦ない批判が浴びせられています。2月21日付け英国『エコノミスト誌』は「Japan」を文字って、「JAPAIN」と皮肉っています。

…because it is the world's second-biggest economy and it has not tackled the fundamental causes of its malaise. Japan's economy is still held back by its p oliticians. Though much has changed since 1990, a cyclical slowdown is now lay ing bare Japan's structural shortcomings. A few years ago, people hoped that J apan would help take up some of the slack in the world economy if America tire d; that now looks unlikely. Productivity is disastrously low: the return on ne w investment is around half that in America. Consumption is still flagging, th anks in part to companies' failure to increase wages. Bureaucratic blunders ha ve cost the economy dearly, and Japan needs a swathe of reforms to trade and c ompetition without which the economy will continue to disappoint. The Liberal Democratic Party , which has ruled for the best part of half a century and rem ains a machine of pork and patronage, has given up trying to tackle these prob lems. What reformist tendencies it had under the maverick Junichiro Koizumi, p rime minister between 2001 and 2006, have now gone into reverse.

…その原因は日本が世界第2位の経済大国でありながら、根本的な病根の解決に取り組んでいないからだ。日本経済は、まだ政治家達によって足を引っ張られている。1990年以降かなり変わったとはいえ、周期的な後退が日本の構造的欠陥を露わにしている。数年前までは人々は日本が、米国が疲弊した後の世界経済の不振の一部を肩代わりしてくれるとの期待感を持っていた。しかし、それは今や期待薄だ。生産性は目が当てられないほど低い。新規の投資に対する収益は米国の約半分。企業が賃金の引き上げをしなかったことで、消費はまだ低迷している。官僚の失策が、経済に多大の犠牲を強いた。日本はこれ以上経済面 で失望を与えないためにも、貿易と競争力の面で一連の改革を実施する必要がある。自民党は過去半世紀の大部分を支配してきて、まだ利益誘導マシンとして残っているが、これらの問題に取り組むことを放棄してしまっている。せっかく一匹狼の小泉純一郎が首相をしていた2001年から2006年にかけて改革への取り組みをしていたのに、元に戻ってしまった。

●2008年6月 【笑う中国人】

「笑う中国人」(相原茂著:文春新書)という中国ジョークの本を読みました。社会主義国だけにかつてのロシアのアネクドート風の政治体制批判物、インターネットによって世界中に拡がっているジョークの焼き直し版(=ブッシュが江沢民になったり、ロシアの赤の広場が天安門広場に変わっているもの)、中国人が日本人を飛行機から突き落とすというようなどぎつい反日ジョークなど様々なジャンルのジョークが有りますが、さすが文字の国だと思ったのは韻を踏んだ戯れ歌です。「忽悠(フーヨー)」という中国語は「うまいことを言ってその気にさせて騙す」という意味なのだそうですが、日本語訳は次の通 りです。

国家が国家を忽悠する。これを外交という。
指導者が指導者を忽悠する。これを策謀という。
政府が国民を忽悠する。これを政策という。
国民が政府を忽悠する。これを犯罪という。
国民が国民を忽悠する。これを商売という。
男と女が忽悠し合う。これを愛情という。

では最近の北京オリンピックのための環境汚染ひた隠し、3月のチベット弾圧報道規制などの中国政府のやり方はこう表現すれば良いのでしょうか?

政府が五輪観光客を忽悠する。これを環境対策という。
侵略虐殺を暴徒鎮圧と忽悠する。これをプロパガンダという。

●2008年7月 【国民に冷たい仕打ち】

75歳以上全員と65歳以上の身障者など、まさに医療費負担が多い人だけを一括りにして、従来の保険制度から切り離して、彼等の年金から強制的に保険料を天引きし、保険料が払えなくなると自費診療を強制される実質「姥捨て制度」である後期高齢者医療制度が、本年4月からスタートしました。しかし国の政策を注意深くフォローすると、医療保険制度及び年金制度の破綻を国民にジワジワと負担を押しつけていることがわかります。

【下記年表参照】 特に2004年に「年金百年安心プラン」と嘘ぶいて物価スライドを廃止した年金改革は支給開始年齢の引き上げと、年金から天引きされる保険料増額の繰り返しで、「安心」どころか「不安」を増すばかりです。

年    高齢者負担増内容
2000年 介護保険制度開始→従来の保険・年金の他に所得に応じて徴収。
2004年 物価上昇に連動した年金支給の廃止→毎年の物価上昇で年金は実質目減り。
2005年 65歳以上の所得税老年者控除廃止→最高で一人5万円増税。
2006年 定額(=年額520万)以上の所得のある70歳以上の人は医療費30%自己負担。
2007年 所得税・住民税低率減税全廃→小渕内閣の約束を反故にして実質増税。
2008年 後期高齢者医療制度開始→75歳以上の年寄りは別枠姥捨て医療制度へ。
2009年 高齢者(70〜74歳)医療費負担全員20%へ。介護保険料再値上げ予定。

●2008年8月 【盆踊り】

盆踊りの「盆」とは、旧暦7月15日に「盂蘭盆(うらぼん)」と呼ぶ父母や祖霊を供養する仏教の行事から来ています。盂蘭盆(ullambana)はサンスクリット語の音写 語で、 イラン語で「霊魂」を意味するウルヴァン(urvan)が原語ではないかと言われています。【注1】

盆踊りは霊魂を慰撫するための踊りであったため、両手を下方で左右に揺らす所作をしますが、慰撫が特に必要なのは迷える霊、即ち新仏や餓鬼仏であり、慰撫はするが後々まで依り憑かれては困るので、手のひらを顔の前で左右交互に立てる所作でそれを拒否します。【注2】

盆踊りはこの二つの手の動きが基本になり、鐘・太鼓などが加わり時代と共に各地方独特の踊りに発達して行ったようです。現在では盆踊りには櫓の周りを輪になって音頭に合わせて踊る「輪踊り」が一般 的ですが、古くは家々を巡って踊っていた「行列踊り」 も有ったようで、阿波踊りは後者が大衆化したものです。

【注1】ウイキペディア http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%82%E8%98%AD%E7%9B%86
【注2】「旬の民俗学」(神崎宣武)

●2008年9月 【栃木】

出張で栃木県栃木市に一泊しました。翌朝市内を散歩していたら、「神明宮」という神社が有ったので参拝し神明宮本殿前の説明文を読んで、なぜ「栃木」と呼ばれるようになったかがわかりました。

神明祠の社殿には千木(ちぎ=破風の先端が伸びて交差した木)が十本有ったことから、この辺りを十千木(とちぎ)と呼ぶようになり、後に「千」が十個あつまれば「万」になることから、「木万」(=木編に万)という字を作りその後ろに「木」を書いて、「とちぎ」と読んでいたようです。

ところが明治初期に県庁の役人が、この字を誤って「がんだれ」に「万」につけ「栃」と書いてしまったため、それが現在の「栃木」になったそうです。私は「栃の木」が多い場所だから「栃木」になったのかと単純に思っていましたから、「へぇ〜」ボタン【注】をピンポンピンポン押してしまいました。(笑)

【注】「へぇ〜ボタン」はTV番組「トリビアの泉」で、意外度が高いウンチクだと思われる時に参加者が押すと「へぇ〜」という音がするボタンのことです。

●2008年10月 【アラキドン酸】

 サントリー健康科学研究所が40〜60歳代の男女600人に脳の衰え実感調査を行ったところ、「名前が出てこない」(78%)、「漢字が書けない」(47%)、「物忘れする」(40%)という結果 が出て、87%以上の人が一日一回以上起こっていることが分かったそうです。

 杏林大学医学部古賀良彦教授は「脳の衰えは記憶力、気力の低下から始まる。脳には『海馬』と呼ばれる記憶力を司る部位 があり、そうした動きを支える神経細胞が加齢と共に減ってくる。すると神経細胞間のネットワークが脆弱になって、刺激が繰り返されても物覚えが悪くなる」と解説しています。(産経新聞2008/09/13)

 同教授は神経細胞機能の減少を抑え機能改善を図るために有効な成分として、『アラキドン酸』を挙げています。ラット実験によると水の中に放り出されても若いラットはすぐ逃げ場所を覚えるが、年を取ったラットは覚えが悪くなかなか逃げ場所にたどり着けないそうです。ところが年を取ったラットにアラキドン酸を与え続けてから、再び実験すると逃げ場所にたどり着く速度は若いラットと遜色無くなるそうです。ホントかいな?(笑)

 またヒト試験でアラキドン酸の必要量(1日240mg)を摂取した群と、プラセボ(偽薬)を摂取した群を比較すると、前者の群は脳の認知スピードが上がることが確かめられたそうです。『アラ、ドキン!』(笑)

 アラキドン酸は体内では作れない必須脂肪酸なので食物から摂取する以外になく、肉・卵に多く含まれているそうです。そういえば98歳で現役の医師である日野原重明先生(写 真)、86歳で尼僧活動を続けている作家の瀬戸内寂聴さんは毎日ステーキを食べると仰有っていたことを思い出しました。年を取ってあっさりしたものばかり食べていると脳は呆けるんですなぁ。バリバリ肉と卵を食べて記憶力減少を抑えましょう!

●2008年11月 「裁判」と「判決」の混同

 第二次世界大戦で日本が降伏した後、連合国が戦争犯罪人として指定した日本の指導者・軍人などを裁いた「極東国際軍事裁判」、通 称「東京裁判」は言ってみれば戦勝国による敗戦国への見せしめだったと思います。なぜならアメリカの原子爆弾使用には一切触れないまま、偽証罪を適用されない連合軍証人の証言による「日本軍の残虐行為」のみ一方的に裁かれ、日本側弁護人の提出した証拠の半分は却下され、日本語通 訳を突然打ち切ったりするという、不公平な審理の下で進められたからです。1946年4月29日(天皇誕生日)に起訴し、1948年12月23日(皇太子誕生日)に死刑執行をするなど、明らかに政治的意図を感じさせます。しかも当時日本を占領していた連合軍司令部(GHQ)は徹底した言論統制を行い、27億円という裁判費用を日本政府に払わせたのに、東京裁判に対する批判は封じたことなどを考え合わせると、日本人被告7名を絞首刑、16名を終身刑にしたこの報復儀式はとても「裁判」とは言えない、というのが私の見解です。

 上智大学名誉教授渡部昇一氏は東京裁判に関して、日本人の多くが「裁判」と「判決」を混同していると指摘しています。【注1】渡部氏の指摘に基づき1951年に締結されたサンフランシスコ講和条約の11条を原文で参照すると、"Japan accepts the judgments of the International Military Tribunal for the Far East and of other Allied War Crimes Courts both within and outside Japan" となっており、これを外務省が「極東国際軍事裁判所並びに国内外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾する」と翻訳したことが、「東京裁判」そのものを受諾すると受け取られる結果 となってしまった、 という同氏の主張に納得が行きます。

 なぜならこの諸判決(judgments)を下したのは、日本国内外における連合国軍事裁判所(Allied War Crimes Courts both within and outside Japan)であり、その判決を受諾(accepts)したのは、この講和条約で独立を取り戻したJapan(日本)という国家であると読めるからです。つまり占領下で連合軍の軍事裁判で決定された判決のうち、終身刑などは期間が終わらないうちに講和条約が成立して日本が独立したので、「残りの刑期は国家としてちゃんと果 たしますよ」という意味だと解釈出来ます。

 判決を受けたいわゆる戦犯達が「受諾」したのはその「判決」であって、「東京裁判」そのものを納得しているわけではありません。「軍事裁判諸判決を受諾する」と言っているのは日本国家なのです。裁判受託と判決受託とは全く別 物であることは「ソクラテスの弁明」を読めばわかる、と渡部氏は説明しています。ソクラテスは青年を堕落させたという罪で裁判にかけられ、死刑を宣告されます。ソクラテスはその裁判に不服でしたが弟子達に脱獄を勧められた時、「この裁判は受諾し難いが、その判決を受諾しなければ法治国家は成り立たないから判決には従う」と、従容として毒を飲んで死ぬ のです。【注2】

【注1】産経新聞2008年10月10日 【注2】「ソクラテスの弁明・クリトン」(岩波文庫)

●2008年12月 オノマトペ

「ドスン」、「しとしと」などの擬音・擬態語を英語でオノマトペ(onomatopoeia)といいます。例えば鶏はどこの国でも似通 った声で泣きますが、その擬音語は各国によって異なっている点が非常に興味深いです。日本では「コケコッコー」ですが、英語ではCook-a-doo-dle-doo(コックドゥドゥルドゥ)、フランス語ではcoquerico(コクリコ)、ドイツ語ではKekeriki(キーキリキー)、中国語ではger ger ger (ゲルゲルゲル)、タイではなんとek i ek ek(エッイッエッエッ)と表記するそうです。【擬音擬態語辞典:山口仲美編 講談社】

次のフランス語のオノマトペは皆さん、何の音だか想像がつきますか?
1. Tagada, tagada, tagada(タガダッ、タガダッ、タガダッ) → 馬の蹄の音(パカッ、パカッ、パカッ)
2. Ouah ouah(ウワッフ、ウワッフ) → 犬の鳴き声(ワン、ワン)
3. Atchuoum(アチュ−ム) → くしゃみ(ハックショーン!)
4. Froufrou(フリュフリュ) → 布が擦れる音(サラサラ)

それでは皆様、よいお年をお迎え下さい。


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